第4回「学生スポーツとコンプライアンス」
講演会・討論会・懇親会 開催


〜学生により近づき、そして共に考え、行動する〜

  9月24日(土)、立命館大学衣笠キャンパスにて、立命館スポーツフェロー主催の第4回「学生スポーツとコンプライアンス」が、体育会現役学生・立命館スポーツフェロー関係者、大学関係者等約530人を集め開催されました。  

講演会                (敬称略)
 司   会  高橋    誠  立命館スポーツフェロー事業委員長
 開会挨拶  林    國松  立命館スポーツフェロー副会長
 講   師  國廣  敏文  学校法人立命館常務理事
                   立命館大学スポーツ強化センター長
         内田  憲幸  元京都府警察官 警察庁警視長
                   京都簡易裁判所司法委員
         森田  恒雄  立命館スポーツフェロー副会長

開会挨拶
林  國松
 日本は、東日本大震災や台風被害など、かつてないほどの経験をさせられております。 こんな時こそ、ルールに沿った行動を取らなければならないと思います。また、人間はこの世に生を受けた時から、社会のルールの中で育ち、ルールを守ることによって、社会生活が営まれ、ルールなくして何も出来ません。特に私たちのスポーツに携わっている者は、ルールを知りルールを守ることを肝に銘じ、努力しようではありませんか。

講演内容
國廣 敏文
 コンプライアンスとは、日本ではこの10年くらいの間に非常に耳にするようになった言葉で、その背景は、大企業を中心としていろんな不祥事が起き問題となったことなどにあります。不法行為をした企業はそのイメージがダウンして、その収拾のために多大なエネルギー、コストも使い信用を失ってしまう。社会的にも制裁を受け、不法行為をした本人だけでなく会社、社員、その家族、もっと言えば日本の企業全体の問題として言われるようになってしまいます。
 コンプライアンスとは、狭い意味では命令や要求に従うこと、法律遵守とも言われますが、広い意味では倫理、道徳、社会的な規範、あるいはルールで、こういう社会情勢のなかで広く言われるようになりました。  
 立命館は体育会活動などの課外活動を教育の一環だと位置づけ非常に重視しています。皆さんが成長していく上で、心と体の両方の健康があると言うことは大変重要なことなのです。本学の目指す学生像について、「他者と共に信頼と共感の中で一人一人が自己を確立していく」、「社会との関わりの中で活動して社会貢献を通じて成長する」など、いくつかのキーワードがあります。体育会活動でも、いろんな形で他者との関わりとか相互の関係の中で成長してゆく、そういうことができる人間を育てたいし、その中で総合的な人間力をつけてもらいたいと思います。
 最近、世の中では社会人基礎力というものを身につけさせようということが言われています。2006年に経済産業省が中心となって、「前に踏み出す力」、「考え抜く力」、「チームで働く力」の3つの能力と12の能力要素が定義づけられました。これらの能力、要素は、皆さんのクラブ活動に全部必要な要素だと思います。逆に言うと、クラブ活動をやる中でこういう力が身につくのだと強く確信しています。そういう力を大学としてはつけたいと思っています。立命館では、30年くらい前から政策的に取り組んできています。今はスポーツ振興担当の学生部長を置き、総長をトップとした学生スポーツ振興会議というのを作って学生のスポーツを強化してきています。なぜ立命館はスポーツを強化しているのか、あるいは重視しているのかということをしっかり考えてもらいたい。
 しかし残念なことに、学生を巡る不祥事や懲戒事例が発生している。すべて体育会の学生が起こしたものではないが、残念なことにそういうことが起きています。
 特に学生スポーツは、優勝しても賞金が出るわけでなく苦しく辛い。しかし、精一杯やっているというフレッシュさにみんなが期待をしているし支援をしている。一般の学生以上に期待もされ注目されています。それが不祥事を起こしたり問題を起こしたりするとがっかりする。クラブ員の中の1人や2人が問題を起こしたしても、「あのクラブは・・」とか言われるわけです。スポーツとは、見てる人たちや、家族とか関係者を勇気づけたり感動させてくれるのですね。そういう憧れの人が問題を起こす、あるいはチームが不祥事を起こすとなると、大きく期待を裏切ることになります。これまでも立命館のクラブやサークルでも時々問題が起こっています。その収拾に大変な労力とエネルギーを使っているいます。スポーツ競技に関わる人は、一般の人以上にルールやマナーや法律を守ることが要求されているのです。皆さん一人一人が立命館のスポーツを代表しているという自覚をしっかりもってほしいし、責任もそれに伴っている、それと同時に体育会の一員になるということは非常に名誉なことでもあるし、それを続けて最後までやっていくということは、自分の生涯の財産ですし、喜びですし誇りだと思います。緊張感をもってやっていただきたい。
 インターネットで、コンプライス違反が起きやすい企業というものが掲載されていましたが、これを体育会のクラブに当てはめてみました。自分のクラブがこういう体質であれば、今後見直すような話もしてほしい。
 1番目は、金儲け主義の会社というのは利益優先になる。クラブでも優勝を目指ことは大事です。しかし勝てばいいのだ、少々審判に見えなければ悪いことをしてもいいなどいうことではダメなんです。やはり練習や試合のプロセスの中で積み上げていって、最後に勝利するということが素晴らしいのです。
 それから秘密主義。独裁主義的な企業の中では話し合いが全くない。スポーツもそうだと思います。コーチや監督や先輩の言うことを聞いて動くことも大事だと思いますが、自分の考えは言ってもいいんです。あるいは言うべきなのです。個人の体力とか体の動きには個性がありますので、オープンな話し合いの雰囲気やコミュニケーションが必要なのです。
 それから自己中心的な幹部。「俺が言うとおりにやればいいんだ」、それが正しければいいんですが、そう言うからには、説得したり納得させる、そういうものが伴って初めてリーダーシップが成立するというものです。
 そして、善悪の区別がつかないとか、精神論ですべて解釈するとか、そういう要素があるような企業はダメだということです。
 また、安全安心のクラブ活動のためにリスクマネージメントをやる必要があり、具体的にはクラブの中でいろんな問題を起きた時はどういうふうに考えるのか、あるいは起きないためにはどうするのかを考えるために、指導者を置いたり話し合いをするということが大事です。
 最近にいろんな面で「品格」ということが使われています。組織のルールを守ってきちっとやっていけば、品格の備わった、そして風格はそういう自信の上に、あるいは品格の上に堂々と自分を主張する、自分に自信と誇りをもった人間になれば風格が現れます。
 スポーツの世界では「心技体」と言われますよね。何か欠けているなと前から思っていました。心とは強い意志とか志とかあるいはやさしさもいるだろうし、心遣いとか自分を乗り越える心もいるだろし、ハート・情熱もいるだろう。技はもちろんです。体がないとだめ、体力、筋力、エネルギーとか。しかし何かがない。それは「智」なんです。やっぱり考える、自分の頭で考える、判断、思考する。「心技体智」というのが必要だと思います。
 大学というのはそういう知識を植え付ける場だと思いますので、是非
、今お話ししたことを繰り返し、スポーツも頑張っていただければいいと思います。

内田 憲幸

 警察官生活を40年位しておりまして、機動隊の隊長もしていたのですが、まだデモが盛んな時代でありましたから、火炎瓶の下を、投石の下を、部隊を指揮して走り回りました。その時に一番力強くて信頼できる部隊というのは、機動隊には、柔道をする小隊と剣道をする小隊があるのです。どんなに混乱しても、相手がどんなに突入してきても、毅然として引くなといったら絶対引かない 、押せと言ったら・・押せといっても相手が多ければ押せない。それでも一糸乱れず動けるのは、やっぱり柔道、剣道をしている小隊でした。心と体を鍛える、体力がある、かつ相手の挑発に乗らず冷静さと精神力を持っているのでした。
 OBの一人として、皆さんが大学四年間でいろんなスポーツをして優勝をしてほしい、オリンピックに行って欲しい、金メダルをとってほしいと思っていますけど、そんな人は、金メダルを取る人は1人です。その下にたくさんの選手がいる。スポーツとは強くなってメダルをとってではなく、活動をする中で自分の体と心を鍛えて、社会に出て行ってから十分耐えうる、社会に役に立つような人間になる。そういう意味においては、厳しい練習がある、全然強くならない上手くならない、嫌になる逃げたくなることがあるかもしれませんが、そういうところを頑張る、頑張って力がついてゆく。優勝はしてほしいけど、しなくても値打ちはある。4年間スポーツをしておしまいというのではなく、卒業後もしてほしいし、当然4年間で培った体力、学力というのは、社会に出ても人に負けないだけのものはありますので、是非今頑張って、苦しい、成果があがらないけれども、そういうことを信じて日々努力を重ねて欲しいと思うわけです。
 世の中にはいろんな法律があります。コンプライアンスは法令遵守ということですが、その最低限の法律でさえ守れない人がいる。
 皆さんにお配りしたのは、昭和23年にできました軽犯罪法のコピーですが、「えっ」と思うような条文もありますが、このような行為でも軽犯罪法に触れるのです。1年間に2,000人くらい日本で軽犯罪法違反で捕まっている人がいるみたいですね。だから少なくても皆さんは法令に遵守ということであれば、こういうことも含めて、できるだけ警察の世話にならないようにお願いしたい。逮捕されますと、その瞬間から全く自由はありません。だから逮捕されないようにしてほしいわけです。
 よく失敗する事例として、お酒・賭博・異性関係というのあります。お酒ですが、未成年の方が多いので飲んでいないと思いますが、飲まない方が体にも良いし、失敗にもつながらないと思います。酒を飲むとくどくなる、判断力が鈍る、粗野になる、卑猥になる、失敗しやすいのです。よくあるのは、クラブの打ち上げのコンパで、活きよいよく行ってアルコール中毒で救急車で運ばれた、最後に死んでしまった、ということもありますよね。一気飲みは絶対いけません。酒は飲まない方がいいし、一気飲みは絶対にやめるということです。
 それから、次は賭博ですけど、最近はパチンコとか競輪競馬などにのめり込む人も多いようですが、学生時代は金がなくて苦労するのが一番よろしい。金が一杯あって毎日飲んで遊んで暮らしていたのでは勉強になりません。楽をして儲けようとしてはいけません。
 異性関係は省きまして、特に言いたいのは、薬物と交通事故。酒を飲んだら絶対に運転しない。交通違反はしない。最近見ていますと、車でもバイクでも自転車でも、何も通っていなければ赤信号でも発信する人がいます。これでは社会生活はできないです。交差点では危なくて誰も通れなくなる。だから交通ルールは守る。薬物ですが、売人はこれを飲むと痩せるとか美容によろしいとか言って売りつけて、「面白そうだから1回だけ」でもうダメ。1回が2回、2回が3回、ずーっとやめられなくなります。スポーツ選手やタレントでも薬物で失敗した人がいますよね。だから皆さんも興味があるかもしれない。でも絶対に手を出さない。もう体も心もボロボロになる。廃人になってしまいます。
 ちょっと時間も参りましたが、最後に仲間を助けてやってほしい。今言ってきたように事故を起こす人というのは、何かの兆候があるのです。後になってから「そういえばあいつ金使いが荒かったが、そうやって金を持ってきてたのか」と思うことがある。練習に身が入らない、来ない、遅れる、理由をつけて早く帰る、というような人は要注意ですよね。その時にほっておかなくて、友達だったら、「おい、大丈夫か。なんかあるのとちがうか」と一言かけると、むこうも「実は」ということがありますので知らんふりしない。それから兆候としては、何となく元気がない、付き合いをいやがる、太ってくるとか痩せてしまうとか、服装が乱れる、このようなことがある時は、友達としても、先輩、監督としても、必ず声をかけてください。事前に兆候を把握して一緒に頑張って行こうとするのが、友達ではないかと思いますので、是非皆さん頑張って、クラブでも頑張って、勉強も頑張って、卒業して、社会に行って、社会のリーダーとして活躍していただきますようによろしくお願いします。

森田 恒雄

 皆さんはスポーツを愛し、その楽しさ、苦しさの中での仲間意識、あるいは絆というものを育みながら組織としてチームとして更に競技力を高めるために、この難しい立命館大学、文武両道を掲げている立命館に入学されたわけですから、その自信と誇りをもって大いに活躍してほしいと思います。
 一度逮捕されると拘束され、自由がなくなるという話が先程の講師のお話の中にありました。日本では逮捕されたら終わりなんです。逮捕されても容疑者ですから、裁判で有罪とならなければその罪とは受けなくてもよいということになるわけです。しかし、逮捕された時点で烙印を押されてしまう。だから、そういうことにならないように、日頃から何を大事にしなければないか。皆さんは犯罪行為が良いか悪いかなんて分かるわけなんです。
 人権感覚というのは、日本の文化の中でずっと根付いているのです。一昨年、「からかいの文化」としてお話ししました。学校で言えばいじめなんかもそうなんです。同一性、均一性であるというものが重んじられる社会なのです。皆さんのクラブでいえば、ある一定のレベルにある者が集まっていると思います。それよりも以下ならば徹底的にいじめたり、徹底的にしごいたりするということが部活動の中であったかもしれません。しかし、そのような感覚が犯罪行為に移ったり差別をしたり、知らず知らずのうちに心の中が蝕れていくことがよくあるのです。下の者に対して言葉でもってなじってしまう。言ってはならぬこととか、してはならぬことが人権感覚なのです。おもしろおかしければいいということで、テレビの番組ではお笑いタレントがもてはやされている時代です。聞くだけでなく自分もおもしろおかしく言ってやろうという気持ちがどこかに根付いている。それが相手の心を傷つけているということになかなか気付かない。傷つけられている方は心の中で深く感じているのだけれど、言っている方は一向に感じていないということがよくあるのです。今日の講演会でもそうですよね。聞くということは忘れるということなんです。聞けば理解はできるのですが定着はしないのです。何度も何度も繰り返しすることによってそれが定着するのです。練習でもそうなんです。基礎的な練習を何回も何回も毎日するのです。
 我々の時代と、皆さんの時代は全く違っていると思います。我々の時代は伝承であった。先輩がやっていたから後輩もそのまま引き継ぎ、すっと受け継がれていく、これは伝承なんです。皆さんは全く違う世代の中でスポーツをしていると思います。それが今、伝統なのです。伝承とはありのままをそのまま伝えて行く。伝統というのは、残さなければならないものは残すのです。その部活動の中で大事な物は残していると思うのですよね。それが伝統なのです。だけどもその中で、変えていかなければならない、新しく作り上げて行かなければならないことは伝統なのです。昔のまま、旧態依然のままでずっと練習しているようでは勝てない。勝負ごとというのは、勝利至上主義ではないですけど勝たなければ楽しさというのはないでしょう。負けたときの悔しさというのは一生懸命練習した者にあるのです。負けた悔しさから勝利に結びつく。それは日頃の練習とか鍛錬とか訓練がそこに結びつくのです。体育系には古い体質がありますが、皆さんの世代は変えられる世代なのです。我々は本当に先輩は怖かったのです。誰よりも怖かった。言われたとおりにしなければならなかった。だけども今はそうでなく、新しい指導方法とかが取り入れられてきています。
 最近、差別ということ少なくなってきたかもしれませんが、完全になくなったわけではありません。差別とは自分の努力とか自分がどうしょうもできないことで不当な扱いを受けることが差別なのです。女性差別ということがありますが、女性が努力して男性になれないのです。そういう一つ一つのことを感覚的にもっていなければ、一人が行ったこともでもクラブ全体に見られて、「何だ、あのクラブは」と言われてしまうから十分気を付けてほしいなと思います。
 皆さんは立命館大学を卒業するのです。人権感覚の乏しい生活を送ってほしくない。人権感覚の高いレベルを身につけてほしいのです。心を鍛えてほしいのです。心というのは日々の中で意識していないのですが、どこかで意識しておくという気持ちがないと、犯罪を犯さなくても犯罪に巻き込まれるかもしれません。
 そして、人権感覚を鍛えるためには、嘘をつかないということが大事です。当たり前のことです。今でも見てきたような嘘をつくことがあるのです。見てもいないのに、それが事実のように平気で言うことがよくある。人伝いに聞いてきたことが間違いを生んでしまうことがあるのです。これも人権感覚なのです。もっと言えばこれが差別につながっていくのです。だから感覚ということを鍛えてほしいと思います。
 それから昨年、愛ということをお話ししたと思いますが、好きというようなことではダメなのです。愛とは、どのようなものであっても同じように接しなければ愛ではないのです。部活動でも、このクラブやこの競技が好きだからやっているのではダメです。これを愛することができるまで本当の部活動はできないのです。愛とは他のクラブまでも理解できるのです。好き嫌いでやっていると自分の部活動しか見ていない。自分の部活動さえよければいいという見方をしてしまう。皆さんも愛というところまで高めて日々の部活生活を送ってほしいなと思います。皆さんは、中学、高校から部活動をしてきた人が大半だと思います。大学まで来たのだから今までの中学高校ではなくて、自分の部活動だけ見ているのではなくて、他のスポーツというものにも理解を示していかなければダメです。それが愛なのです。
 それと一部を見て全体を差すということがよくあるのです。一人の不祥事が、一つの部の不祥事が全体をさしてしまう。1回生の○○学部の誰々なとどいう報道なんてないですよ。立命館大学の誰々という報道が出ます。一人一人が人権感覚をとぎすませて生活をしなければ、全体に迷惑を及ぼすことになってしまいますから十分気を付けてください。
 私達OBは、立命館が何連覇したとか優勝したとか準優勝したとかを聞くとやっぱり嬉しいんです。テレビを見ていても立命館出身だと聞くと力が入るのです。応援するのです。だけども立命館のOBが犯罪などをすると嫌だなと思うのです。だから、夢や希望を持って入学したのだから、夢や希望をかなえて、成長して活躍してというのが願いなのです
 立命館の学生が活躍することを楽しみにしています。
討論会                (敬称略)
 コーディネーター   村岡    治  立命館スポーツフェロー会長
 パネリスト    國廣  敏文  (講師)
           内田  憲幸  (講師)
           森田  恒雄  (講師)
           橋本  陽平  立命館大学体育会 硬式庭球部 3回生
           施   華光   立命館大学体育会 軟式野球部 2回生











パネリストから

國廣 敏文
 人との関わりとか人との相互関係の中で、自分が強くなったり優勝したり、その競技で目標を達成するのです。自分の回り、先輩でも後輩でも同僚でも、人間ですからいつも調子がいいわけでない。行き詰まったり悩んでいたり、極端な話、競技生活が無理だとかクラブをやめようだとか、あるいは個人的に家庭のことだとか恋愛のことだとか、いろいろ悩むことがあると思うのですよね。そういうちょっとした変化に気付いてあげて、仲間と一緒に目標に向かうということが大事だということです。仲間と一緒という意識がクラブを発展させるということにつながる。今、日本の経済や政治・社会が、全体的にモラルハザードというが、自然災害もあって、どうなっていくかわからないような状態になってきている。組織や社会のことを考えずに自分のことだけを考えていると、ますますこれが進む。3月の震災が教えてくれたのは、人とは一人で生きていないし、絆とか助け合いとかが愛が大事だということ。これはスポーツも絆で結びついているわけですから、千人いる中で一人でも不祥事を起こした時は、クラブは、立命館大学は「何をやっているのか」と言われてしまう。みんなが自覚して行かなければならないと感じました。

内田 憲幸
 世界陸上が終わりましたね。あれを見ていて個人的に感じたのですが、入れ墨をしている選手が女性を含めてかなりおられた。その国の文化にもよるのですが、私は日本では入れ墨文化はまだまだ受け入れていられない。よく留置場に入ってくる人を見ているといっぱい入れているのですよね。もし皆さんが入れるのであれば、それ相応の覚悟をして入れた方がいいのではないか。入れ墨をしますと、日本では医学は発展していますが、完全には消えないのです。跡が残るのです。なぜ日本では受け入れられないかというと、江戸時代、藩によっては刑罰として入れ墨を入れた。入れ墨をしている者は前科者であった。入れ墨については覚悟して入れた方がいいのではないかと個人的な感想を申し上げます。

森田 恒雄
 先程の話の中で一つ抜かしたことですが、日頃の健康管理ということに十分注意をしなければならないです。立命館大学体育会のクラブの中でも練習中に死亡した事例がありました。体調が悪いときもあるかと思います。そんなときに先輩が「なんだそれくらいのこと」ということもよくあるのだけれど、辛抱できないところまで頑張って命を落としては何もなりませんから、日頃の健康管理は気を付けておかなければならないということです。
 「いつまでもあると思うな親と金」とはよく言いますよね。「いつまでもあると思うな親と金」と「寿命」です。それと「ないとおもうな運と災難」ともいいます。「ないと思うな運と災難と癌」。これは若いからではなく、日頃から気を付けていても、どこか体調が不良だな思えば、早期に治療を。今は医学が発達しております。だから早期発見、早期治療がそのような病気を克服できるようになっている。日頃の健康管理も人権感覚と同時に気を付けなければならないと思います。

橋本 陽平
 たくさんの方々に期待されている分、その期待に応えなければならないと感じました。信頼関係を築くには、とても時間がかかり大変なことですが、それを失うのは一瞬です。一人が問題を起こすことで、部活や体育会や大学に悪い影響を与えてしまい、それを防ぐには一人一人の自覚がとても大事だと思います。しかし、それを一人でやってゆくのはとても難しいことで、仲間を助けるという意味でも、みんなで取り組んでいくことが必要だと感じました。私が所属する硬式庭球部でも、年に1回、5月ころ1回生を対象に全員でコンプライアンスについてミーティングをするようになりました。これは有意義なものと思っていますので、今後も続けてゆきたいと思います。また、体育会本部としても今後このような機会を増やせるようにしてゆきたいと感じました。

施 華光
 法律とか規則を守ることが大事だと感じました。もし破って不祥事を起こした場合、その人個人の名前でなく、立命館大学の名前が出てしまうので、その影響は計り知れないものがあるのだと思いました。そういうことをなくすためには、立命館大学体育会員としての自覚と誇りと持ち、仲間意識が大切にして、課外活動だけでなく正課の授業でも体育会員としての自覚を持つことが必要ではないかと感じました。正課と課外の両立とは大学の大きなテーマの一つだと思うので、課外だけでなく正課でもしっかり、精一杯取り組んで行く必要があるのではないかなと思います。そして仲間意識という意味で、所属している部活内だけでなく、体育会同志、たとえば1回生同志での連帯や仲間意識というのが必要であって、我々体育会員が立命館大学をどんどん盛り上げていくという気概が必要なのではないかと思います。自分たちのクラブだけでなく、活動拠点が同じクラブなどに積極的に興味を持って、お互いに応援に行き会ったりする必要もあるのではないかなと思いました。

終わりに
村岡 治
 本日の講師のお話の中で一番大事なことは「健康」です。健康を損なうと判断力がなくなる。判断力がなくなると不正なことにも容易く手を出してしまう。俗に言う「簡単」「手っ取り早い」それにはまりこんでしまう。まず健康でなければならないというのが第一条件です。そのためには若い時に体を鍛える。最大の武器になります。そういう意味合いでルールを守り不正をしないこと。私は官公庁相手の仕事で、38年間役所相手の仕事をしていますが、38年間、役人と乾杯したことはない。それは徹底し努力する。そうすると答えは自ずと戻ってくる。それが人間の生き方ではないかと思います。その中にもう一つ、やはり頭を使う。むやみやたらに走るのではなく頭を使う。健康であり頭を使うと不正をしないのです。
 立命館スポーツフェローは、大学当局と一体となって、学生を支援する。これを最大の目的にしておりますので、今後学生諸君がいろいろな活動する時には、我々OB・OGが全面的に応援してゆきたいとおもいます。
 皆さんが卒業されたら自ずから我々の仲間に入ってくると思われますから、そのことも一つ頭に入れて頑張っていただきたいと思います。

懇親会
                (敬称略)
 司   会  米倉    良  立命館大学体育会 ボクシング部 4回生
 乾   杯  片田  賢史  立命館大学学生部スポーツ強化センター課長
 閉会挨拶  大島 正一郎  立命館スポーツフェロー副会長
   
乾杯挨拶
片田 賢史


 乾杯をする前に一つだけ皆さんに問題提起することがあります。皆さんは体育会です。大学にはサークルもあります。体育会にはお金が出ていますがサークルには出ていません。その違いは何かというと、皆さんの果たす役割は大きいと思っています。チームがこれからの秋のシーズン勝てるかどうかというのは、1回生、2回生の支えがあって3回生、4回生頑張れるのですよ。一人一人の役割の中でやり遂げて初めてそのチームが勝利してみんなが喜べるのです。その時に「俺は関係ないわ」とか「先輩がやったらいいわ」みたいな体育会は必ず負けます。コンプライアンスを守りながら頑張る、頑張って勝利する、勝利するから大学生みんなが支える「愛される体育会」。そうしてみんなが高度な位置にいく、そういう循環を作っていきたいし、そのためにスポーツ強化センターも頑張って行きたいと思います。
       

閉会挨拶
大島正一郎


 皆さんも練習の中で気遣いをしながら、立命館の学生スポーツの一員として頑張っていってほしいと思います。我々も期待をしております。

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